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誕生秘話

南アルプスの大自然をいつまでもそのままに

120年余りにわたって護ってきた「井川社有林」の歴史と現在

当社の創業に深く関わる「井川社有林」

本州の中央部に位置する日本最大規模の山岳地帯、南アルプス。そこには手つかずの大自然が広がり、日本一深い駿河湾に豊富なミネラルを注ぐ水源となる大井川の最上流部、くさび状に突出した静岡県の最北端に、特種東海製紙が保有してきた井川社有林があります。

東西の最広部約13km、南北約33kmの1団地で面積は約24,430ha。民間企業が国内に所有する1団地としては最も広く、東京のJR山手線で囲まれる面積の約4倍に相当します。
実はこの井川社有林、当社の成り立ちと非常に深い関係があるのです。
江戸時代、井川社有林一帯は徳川幕府の直轄地(天領)でした。この山岳地帯が、駿府の国(現:静岡県)の防御線となっていました。江戸時代の豪商として知られる紀伊国屋文左衛門らが、この地で木材伐採を行っていたとされています。

そして明治維新後の1895年(明治28年)に、この一帯の土地を購入したのが、他でもない大倉喜八郎男爵。当社の前身である、東海紙料株式会社(後の東海パルプ株式会社)を興したその人です。
大倉男爵は、当時の東京帝大助教授だった右田半四郎氏に山林調査を依頼。その結果、豊富な森林資源と水資源があることが判明しました。それらの資源を活かして、大倉男爵は製紙事業に着手したのです。

120年余り、人の手を入れずに護ってきた南アルプスの大自然

大倉男爵が所有して以降、当社では、この国内最大級の水源地でもある広大な土地を守ってきました。井川社有林の7割を、自ら「自然保護区」に設定。自然のままの状態を維持するために人間の手を入れることを極力避け、関係者以外の立ち入りを徹底して禁じてきたのです。
120年余りにわたって自然を護り、共存してきた地域の歴史と文化は世界にも認められ、なんと2014年6月にはユネスコエコパークとして登録されています。
そして現在もなお、豊かな自然環境は健在です。
森林限界を超えた標高2600m以上の高山帯には視界を遮るものがほとんどなく、間ノ岳、悪沢岳、赤石岳といった日本有数の山なみが見られます。そして季節がめぐるにつれて、四季折々の素晴らしい景観を眺めることができます。

大自然から産まれる、ジャパニーズ・ウイスキー

井川社有林の豊富な水資源をさらに活かしたい──そこで私たちは、社内で井川社有林に関する事業を行っていた「南アルプス事業部」を分社化することにしました。2020年4月、「十山株式会社」としての新たな歩みがはじまります。

そして2020年11月、この地で一つの新しい事業が生まれました。井川社有林一帯の冷涼多湿な気候、大井川源流の豊富な湧水、この地ならではの自然を活用すべく、ウイスキー蒸留所を開所。標高1,200mでの挑戦がはじまったのです。
豊かな自然環境だからこそ造りだすことができる、“ジャパニーズ・ウイスキー”を、多くのみなさまにお届けしたいと思っています。ぜひ楽しみにお待ちください。

明治時代から長い長い月日をかけて、私たちはこの地で森や樹々を愛しみ、自然に感謝しながらものづくりを重ねてきました。これからも時が育む自然の素晴らしさを大切に思っていただける方々と、その価値を分かち合っていきます。

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