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製品開発ストーリー

アイスクリームから薬莢まで

特種東海製紙と「高付加価値パッケージ用紙」の歴史

1920年代から、特殊紙の国産化を目指して奮闘

欧米に劣らない特殊紙を国内で製造したい──特種東海製紙の創業者の一人である佐伯勝太郎博士の熱い想いを原点に、当社の前身のひとつである「特種製紙株式会社」が設立されました。
設立当時、1920年代の日本では特殊紙の大半を輸入に頼っていました。そうした状況を変えるべく佐伯博士を先頭にした、企業としての奮闘がはじまったのです。

日本の特殊紙市場の黎明期から現在に至る長い年月の間に、当社はさまざまな特殊紙を製造してきました。
ただ「特殊紙」と一口にいっても、みなさんに馴染みのあるものばかりではありません。例えば、日常的によく使われるいわゆる「ボール紙」などは大量生産が可能ですが、ニッチな用途のパッケージ用紙は小量生産で、且つ細かなニーズに応えるため非常に多くの種類があります。いわゆる「小ロット多品種」です。
それら一つひとつのニーズに対して、私たちは自社の持つ技術を注ぎ込み、製品化を叶えてきました。それは今でいうところの「高付加価値パッケージ用紙」の走りであったともいえるでしょう。

特種東海製紙が開発してきた、歴代の「高付加価値パッケージ用紙」

長い歴史の中で、具体的にはどのような特殊紙のニーズがあったのでしょうか。今回は当社が開発・製造を手掛けてきた数多くの製品の中から、付加価値の高いパッケージ用紙をいくつかご紹介いたします。

1)「タイヤ巻き紙」(1930年 昭和5年)
タイヤ巻き紙は、自動車やオートバイ、自転車などのタイヤを保護するためのクレープ状の包装紙です。タイヤを包装する際に、破れにくく、タイヤのゴム質の品質保持が期待されていました。紙自体の強さとクレープの柔軟な緩衝性によって、輸送時の衝撃に耐え、タイヤの損傷を防ぐことができました。

2)「針包用紙」(1937年 昭和12年)
針包用紙は、輸出縫針に使用された包装紙です。針が錆びないようにpH(水素イオン濃度指数)は中性に近く、ピンホールもありません。密度が高く表面は平滑で、折り曲げても亀裂が発生しにくい、柔軟な触感を持つ紙です。

3)「スポーク包紙」(1937年 昭和12年)
スポーク包紙は、車輪のスポークを包装するための特殊紙です。昭和時代初期に、台湾や東南アジア向けに輸出される自転車、および自動車に使われました。針包用紙同様に 防錆性を付加した強靭な紙です。さらにメーカーのブランドマークが入っているのは品質の証でもありました。

4)「アイスクリームバー用紙」(1957年 昭和32年)
アイスクリームバー用紙は、耐水性に優れ紙質は緻密で、アイスクリームから引きはがすときにも繊維の脱落や紙層の剥離が発生せず、衛生的でした。紙にオニオンスキン風の小じわがついているのが特徴の一つです。

5)「薬莢用紙」(1963年 昭和38年)
薬莢(やっきょう)用紙とは、薬莢の管部を作る紙です。腰が強く、引張強度と破裂強度が特に強化されています。糊やろう引き適性に優れていたうえ、管体は5回の繰り返し使用に耐えたと、当時の記録に残っています。

特殊紙のニーズに応える「開発精神」の現れ

今回ご紹介した製品はすべて、当時の日本社会のニーズに応えたものであり、現在はその役目を終えて廃品となっていますが、いずれも創業当時から続く当社の開発精神を物語る製品です。
アイスクリームや針、タイヤなどの身近なものから薬莢などの特殊な製品に至るまで、特殊紙の用途は実に幅広く、当社ではそれぞれの製品に求められる品質を満たす特殊紙の開発と製造を重ねてきました。
そしてこれらは、当社の長い歴史の中で開発された製品の、ほんの一部分でしかありません。
ご紹介した特殊紙を含む歴代の製品は、お客様に当社のことを知っていただくための施設である「Pam(Paper and Materialの略)」にて保存、展示をしております。(※一部展示替え等の都合で展示されていない場合がございます)

Pamについてはこちらのコラムで、詳しくご紹介しております。みなさまもぜひ、Pamで当社の特殊紙の歴史に触れてみてください。

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